再び京都シリーズです。 板の看板が渋い足袋屋さんです。
〜足袋ではなく、靴下の出てくるジョーク、
二人は50年間、口喧嘩ひとつせず仲良く暮らしてきた。夫は「整理ダンスの上に置かれた木箱の中だけは絶対に見ない」と言う妻との約束を、非常に気にしながらも守って来た。
妻が死の床についた時、夫はその事を思い出して、「もう開けても良いのではないか?」と聞いた。「そうね!私も間もなく死ぬんだし、良いわ」
夫は整理ダンスの上に置かれた箱を下ろして、妻のベットの処まで持ってきて恐る恐るふたを開けると、中には手編みのソックスが3足と1万円札が10枚入っていた。「別に秘密らしき物は入っていないけど、このソックスは何?」
「あなたを殺したいと思った時、別れたいと思った時、気を紛らわす為に靴下を編んだの。あなたに見られたくなくて箱の中に入れていたの」「そうか、知らなかった!申し訳ない」「ところで10万円の方は?」
「ああ、それは何でもないのよ。靴下が溜まった時、バザーで1足100円で売った代金を入れてあるだけよ」
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