単行本化された伊坂幸太郎の小説は、これで、ほぼすべて読んだことになる。 しかし、期待されて書くと言うのは、大変なプレッシャーでしょう。 「マリアビートル」は「グラスポッパー」に続く、犯罪者たちの群像劇?で、 その世界は「グラスポッパー」からの地続きとなり、共通の登場人物も活躍し、物語の大きなカギを握ったりする。 ハリウッドのアクション映画が大いにそうであるように、劇中で、非道な人物が非道の限りを尽くすと、最後には、その非道さに見合った、ものすごくひどい最期を遂げる・・観客は、ストーリーとは別に、この極悪人は、ここまでひどいことをやったのだから、最後は一体どんなやっつけられ方をするのだろう・・と、 最中からひそかに期待するものである。 しかし・・・・今回、その点が物足りないと言えば物足りない。 「ゴールデンスランバー」にも似た、読後感であったりする。 もちろん、ぐいぐい読ませる、そのパワーは少したりとも衰えてはいないのだが・・・。 まあ、読者は勝手なもので、ほかの作品が面白ければ面白いほど、あーでもない、こーでもないと言いたがるのです。 かのビートルズの「ホワイトアルバム」がリリースされた時、「気をつけろ、ビートルズは疲れている」と酷評されたものである。しかし、時が経つにしたがい、「ホワイトアルバム」は稀有の名盤と評価は変化していった。 「マリアビートル」からビートルズを思い出したわけではないですけど・・・。
|